わたしだけを見てほしいのに
直樹くんのさりげない優しさが
嬉しかった。

傘のいらないアーケードの下を
2人で並んで歩いた。

「お前さ。」
「ん?」

少しの沈黙の後、直樹くんがふいに
聞いてきた。

「あいつにギター返してもらった?」
「うん。取り返して来たよ。」

あれからもう1週間以上が経っていた。

「まだ付き合ってんだろ?」
「うーん・・・。」

それは私自身が今
一番引っかかっている事だった。

あの時、悠斗くんを蹴飛ばして
逃げてきたけど
確かにはっきり別れようとは
言ってない。

自分の感情をぶつけただけ

でも・・・

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