わたしだけを見てほしいのに
「はじめまして。」
「席取ってあるから、胡桃さん
出るまで一緒に待ちましょう。」

沙栄子さんは胡桃さんに頼まれて
私を待っていてくれたようだった。
あまりにも優しい笑顔を見たら
ホッとして夜の町の恐怖も緊張も
ふっ飛んでしまった

フロアはかなり混んでいた
時々振り向いて
私がはぐれていないかを
確認しながら沙栄子さんが
案内してくれた

吹き抜けになっているフロアの
赤い螺旋階段を上ると
ガラスばりの個室があって
中には出演者らしい派手な衣装を
着た人が数人いた

























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