わたしだけを見てほしいのに
「あとね、今まで
自分から何かしたいなんて
ずっと思えなかったんだけど
やっとやりたい事に気づけたの。」
「何?」

胡桃さんのダンスを思い出していた。
見る人に元気を与える素敵なダンス。

「今度は私が聞いてる人に
勇気を持ってもらえるような
歌が歌いたいの。
だからニコルのボーカルがやりたい。
私じゃダメ?」

それは初めて
自分から気持ちを伝えた瞬間だった。

今までずっと、
なんでもかんでも言われるがまま
状況はそのまま鵜呑みにしてきた私の

自分の気持ちを殺すのが美しいとか
勘違いして
自分の気持ちとすら
向き合う事をしてこなかった私の
初めての心からの欲求だった。













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