わたしだけを見てほしいのに
「ミルクティー買ってきたよ。」
「サンキュ。」

悠斗くんはTVに視線を向けたまま
私を見ない
彼の緊張が
なんだかさざ波のように伝わってくる
こんなギクシャクした状態は
始めてで
どうすればいいのか言葉に詰まった

さっきの電話・・・
一体、誰と話してたの?

聞きたい・・・

私は小さく息を吸った

「悠斗くん、さっき誰かと
電話してた!?」
「え・・・聞こえてた?」

思ったよりも軽い反応だった
私はなるべく自然を装う

「あ、うん。最後の方だけね。
もしかして、女の子?」

悠斗くんが
黙ってしまった

やだ、なんだろう・・・

こんな空気は始めてだった
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