わたしだけを見てほしいのに
その時

腕をつかまれて
あっという間に後ろから
抱きしめられた

あったかい息と唇が
私の耳に触れる
大好きな悠斗くんの
香水の香りがした

「香乃子。」

耳から離れた唇が
私の名前を呟いた。

我慢できなくて
悠斗くんの方に顔を向けると
私の唇に
いそがしく重なる柔らかい
悠斗くんの唇

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