- π PI Ⅱ -【BL】


陣内が俺のネクタイをもぎ取り、乱暴にワイシャツの前を開ける。


陣内の掌がまるで蛇のように俺の肌に這い回った。


「やめろ!陣内っ!」


俺が叫ぶと、ヤツは面白そうに笑って俺の首元に顔を埋めた。


肌を舌が這い回り、熱い息がかかる。


生暖かい、そのリアルな感触に全身が強張った。


前に周に強引に抱かれたことを思い出す。


でもあのときはこんな嫌悪感を抱かなかった。


あのときは―――ただ、怖くて、悲しかった。


でも今はひたすらに気持ち悪い。


鎖骨を舌先で撫でられて、俺はぎゅっと目を閉じた。




―――いやだ!


………周…






「―――周っ!!!」





そう叫んだと同時だった。



ドカンっ!


バリバリッ



何かがぶつかるような壊れるような派手な音がして、俺と陣内はびっくりしながら同時に顔を上げた。


音がした方を見ると、


倉庫の分厚い扉が大破して、見慣れた周のベンツが前から突っ込んでいた。



助手席側から周が顔をちょっと出すと、







「呼んだか、ハニー♪」







と手を振っていた。




< 105 / 188 >

この作品をシェア

pagetop