- π PI Ⅱ -【BL】
陣内が俺のネクタイをもぎ取り、乱暴にワイシャツの前を開ける。
陣内の掌がまるで蛇のように俺の肌に這い回った。
「やめろ!陣内っ!」
俺が叫ぶと、ヤツは面白そうに笑って俺の首元に顔を埋めた。
肌を舌が這い回り、熱い息がかかる。
生暖かい、そのリアルな感触に全身が強張った。
前に周に強引に抱かれたことを思い出す。
でもあのときはこんな嫌悪感を抱かなかった。
あのときは―――ただ、怖くて、悲しかった。
でも今はひたすらに気持ち悪い。
鎖骨を舌先で撫でられて、俺はぎゅっと目を閉じた。
―――いやだ!
………周…
「―――周っ!!!」
そう叫んだと同時だった。
ドカンっ!
バリバリッ
何かがぶつかるような壊れるような派手な音がして、俺と陣内はびっくりしながら同時に顔を上げた。
音がした方を見ると、
倉庫の分厚い扉が大破して、見慣れた周のベンツが前から突っ込んでいた。
助手席側から周が顔をちょっと出すと、
「呼んだか、ハニー♪」
と手を振っていた。