- π PI Ⅱ -【BL】


陣内が後ろに吹っ飛び、俺は思わず顔を背けた。


ぅわ!痛そーー…


俺は顔をしかめた。その隙に三好が走り寄ってきて、俺の後ろに回り込む。


「桐ヶ谷!大丈夫か!!」


切羽詰った声を上げて、がちゃがちゃと手錠を外そうとする。


「三好…」


周も俺の元へ走り寄ってくる。


三好はちょっと顔を上げると、顔を横に振った。


「手錠が……」


「任せろ」なんて言って周がちらりと刹那さんを振り返る。


「あの変態女のお陰で手錠を外すのは心得ている。待ってろ、ヒロ」


「周、俺のことは後でいい。それより陣内を…」


「あいつはあそこでおねんね中だ。それよりヒロ。お前は答えが分かったか?分からなかったら今夜お仕置きだぞ?★」


お仕置き??いや…いやいやいや…


そんなこと今言ってる場合じゃねぇって。


「75πm3だろ?」と手錠を鳴らしながら三好がさらりと答える。


三好!?


「むぅ。やるな」と周は悔しそう。


「じゃぁ次のクエスチョンだ」と言って周はさっと“円周率の求め方”を取り出した。


「それ!お前が持ってたのか!!どうりで探しても出てこなかったわけだ。窃盗罪で訴えてやる!!」俺が喚いたが、


「妻のものは夫のもの。夫婦間の共有財産だ。窃盗罪には問われん」なんて周はさらり。


「妻!?夫婦!?」と事情を知らない三好が目を丸める。


あ!そうだった!三好は知らないんだったな!!


って、今はこんなこと話してる場合じゃなーーーい!!!!





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