- π PI Ⅱ -【BL】


「あたしも……って言いたいとこだけど、あたしはちょっと違うかな。別れた元旦那にちょっと似てたのよねヒロは。顔じゃなくて、中身が、だけど。


不器用で、おっちょこちょいだけど、ひたすらまっすぐで可愛い人―――」



刹那さん………


てか結婚してたの!?


「陣内、もうやめろ。この状況で逃げることは不可能」


周が陣内を睨みあげた。


「煩い!!俺を逮捕するって言うんですか!物的証拠は何一つ挙がってない!いい訳すればせいぜい銃刀法違反か、傷害未遂だ!」


「くっ…」周が唇を噛んだ。相手は警察内部の人間だ。何をしたら逮捕されるか、逮捕されないか熟知しているってわけだ。


「周!俺の後ろのポケット!!ミニ周おおかみが入ってる!」


「何!?」


「ミニしゅうおおかみ??何だそれ」三好が怪訝そうにしていたが、周は黙って俺の後ろに回りこんだ。


俺のポケットを乱暴にまさぐる…まではいい……


「てめぇ!どさくさにまぎれてケツ触ってンじゃねぇよ!!」


「バレたか♪」


こんなときまで変態っぷりを発揮して、それでも周はミニ周おおかみを取り出した。





「控えぃ!この紋所…もといミニ周おおかみが目に入らぬか!!」




水戸黄門?格さん…?


「は……?」と陣内は目を点にしている。


周はご機嫌に振り返って、


「お前好きだろ?水戸黄門。録画して見てたもんな♪そうだ♪今度太秦映画村行こう♪」なんて言い出す。


いや…好きだけど……


「ふ、ふざけるのは大概にしてください!」陣内が怒鳴って刹那さんの首をより一層強く絞める。


いや、ふざけてるんじゃなくて、こいつはこうゆうヤツ。陣内…お前好きになるヤツ間違えてるよ。



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