- π PI Ⅱ -【BL】


周がちょっとミニ周おおかみのお腹を押すと、


『とぼけるなよ。今度の連続強盗事件―――お前が犯人だったんだな』と俺の声が流れた。


『そうだけど?』陣内の声もばっちり入っている。


陣内は顔を青くして、歯軋りした。


そう―――周が作ったミニ周おおかみには録音機能がついていたのを思い出したのは、これを受け取ったそのとき。


「これで言い逃れはできないな。物的証拠だ」


「だ、そうよ。諦めたら?」と刹那さんが呆れたようにちょっとだけ振り返る。


「黙れ!こうなったらお前も道連れだ!」


陣内は怒鳴ってナイフの柄をちょっと持ち替えた。


「刹那さ―――!!!」
「危ない―――!!」



俺と三好が叫んだと同時だった。


刹那さんはちょっと肘を持ち上げると、素早くて強烈なエルボーを陣内の腹に命中させた。


黒くて長い髪の中に鮮やかな銀色の髪が一房、優雅に風になびく。


怯んだ陣内に、今度はまるで風のような速さで的確な蹴りをヤツの手元に入れる。


カランっ


乾いた音がしてナイフが床に転がった。


びっくりして声も出せずに居ると、刹那さんは一発目のパンチでダメージを受け、うずくまった陣内の背後に素早く回りこんで腕を捻り上げる。


「いっっ!!」陣内が呻きながら、声を漏らした。


「あたしを脅そうとするなんて100年早いのよ♪ぼーや♪」


刹那さん―――……あなたは一体…


「何者!?」


「言ったでしょう?その辺の男より強いって♪」刹那さんは俺にウィンクを寄越してくる。


ちらりと周を見上げると、周は涼しい顔で手錠を取り出していた。


周は―――刹那さんがどういう人か最初から知ってたんだな…






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