- π PI Ⅱ -【BL】
でも何で…俺に触れてこない?
何で俺から目を逸らす?
周は何でもないように上着を脱いでソファでくつろいでいるけど、どことなくよそよそしい。
もっと触れて欲しいよ。
もっと―――…
俺の中に芽生えたはじめての感情に、俺自身戸惑った。
いつもは鬱陶しいって跳ね除けるのに大変だって言うのに。
周が大人しい。やっと平和らしい平和が来たじゃないか。
そう言い聞かせるも、俺だってやっぱり………
周は俺のこと『性欲がない』なんて言ったけど、別にそんなことはない。
人より薄いだけで、そうしたいときもある。
つまりは今ってわけで。
……でも、しかし…
はて??俺は首を捻った。こうゆう場合どうやって誘えばいいんだ??
女の子相手の場合、それとなくくっついてキスしたり触れたりしてベッドに誘ってたけど。
う~ん、と考えていると周はソファに足を投げ出し横たわった。
目を閉じて寝る体勢に入っている。
「し、周!」俺はヒロジをぎゅっと抱いて近づくと、周は色っぽく少しだけ目を開いて俺を見上げてきた。
「どうした?風呂入らないのか?」
「いや…入るけど。ひ、ヒロジが………」
「あ?」
「……ヒロジが何か言ってるぞ?」
俺はヒロジをにゅっと差し出し周の耳に近づけると、周は
「なになに?」と耳を寄せてきた。