- π PI Ⅱ -【BL】
はぁ!?無駄に色気だと??
「フェロモンだだ漏れなのはそっちじゃん!」そう喚くと、
「何だ?ヒロは俺様のフェロモンにメロメロか?♪」なんてちゅーっと額にキスが降りて来た。
「んなわけねぇだろ!」
そう怒鳴り返したけど、本当は半分…いや半分以上当たってるかも。
でも素直にそう言うと、こいつは後先考えずに襲ってきそうだから。
今は内緒。
「ほらっ。行くぞ」俺はまだブツブツ言っている周の首根っこを掴んで、引きずるように無理やりマンションを出た。
―――
――
水族館までは車で移動することになった。
大破した周のベンツは修理に出していて、代車のベンツを俺が運転している。
周が運転するって言ったけど、だっていっつも助手席じゃつまんないんだもん。
「意外に運転うまいんだな」
「意外とは何だ、意外とは。こう見えても二年ほど前までは毎日営業で乗り回してたんだよ」
「ふむ。初耳だな。ヒロデータに付け加えなければ♪」なんてどこからかまたあの妖しげな手帳を取り出している。出逢ったばっかのときにちらりと見たきりだが…
その分厚い手帳に一体何が書き込んであるのか謎だったが、俺は知りたくない。
知ってしまったら最後。
その手帳を周の前でビリビリに引き裂いているだろう。
って…こいつがそうゆう意味不明な野郎だってことはもう分かりきっている。
だけど
「何っで“あいつら”まで乗ってるんだよ!」
俺はミラーに写った人魚ヒロジと周おおかみを睨んで、声を挙げた。