- π PI Ⅱ -【BL】
二匹は寄り添って、しかも二匹一緒にシートベルトまでつけられてるし!
「ああ、子供たちも連れて来るべきだったか?」
「突っ込むとこそこじゃねぇ!何でシートベルトまでされてるんだってことだ!」
俺が喚くと、周は後ろをちょっと振り返り、
「なになに?今度車の中でヤりたいだと?良かろう♪いつでも抱いてやる」
なんて言ってるし。
ってかそんなこと一言も言ってねぇ!!
ギュンっ
俺は思い切りアクセルを踏み込んでやった。
――――
――
「あ、しまった。こっちの道渋滞してるな。違う道通れば良かった」
ゆるゆると徐行運転をしている車が連なっていて、俺は心の中で舌打ちした。
「意外に短気?俺はヒロと一緒なら渋滞だろうが、かまわん」
なんて言ってマイペースに周はタバコを吸っている。
「そうじゃないけど、せっかくなら水族館でゆっくりしたいだろ?」なんて答えると、
「ガムと飴だったらどっちがいい?」と、またもどこからかガムと飴の袋を取り出す。
ってか俺の話聞こうよ。
それでも
「…飴」と短く答えると、周は飴の個装を剥いて飴玉を自分の口に放り入れた。
「ってかくれるんじゃないのかよ。しかもタバコ吸いながらって器用なヤツ」
渋滞のせいで完全に車が止まってしまい、ちょっとだけ苛立っていた俺が無愛想に言うと、
周は不意打ちに、助手席から腕を伸ばしてきて、俺の頭を掴んだ。
びっくりしすぎて声も出ない。
周は俺の頭を引き寄せると、強引に俺の唇を奪った。