- π PI Ⅱ -【BL】
宮下さんと桐ヶ谷が楽しそうにお喋りしているのを見るとイライラっ!とくる。
最初は美人の宮下 比奈をモノにしやがって!と言うやっかみかと思っていたが、俺のイライラの矛先はいっつも宮下さんだった。
桐ヶ谷に馴れ馴れしく触ンじゃねぇ!
思って、はっとしたことも多々あった。
多分俺は、桐ヶ谷をとられたみたいに思ってたんだな。
あれだ、あれ。お気に入りのおもちゃを横取りされた幼稚園児みたいなもの。
―――考えてがくりと項垂れる。
俺は幼稚園児か……
そんなもやもやを抱えたまま、それから俺は数人と付き合ったがどれも長続きはせず。
一方の桐ヶ谷も宮下さんに二股かけられていた挙句、横領にも利用されていた。
ここぞとばかり傷心の桐ヶ谷をなぐさめるつもりで、合コンに誘ってみたけど―――
新しいのが出来た、だとぅっ!!
しかも相手はあのイケメン刑事!しかも
お・と・こ・だーーーー!!!
―――「……し?三好??お前どーしちゃったの?さっきからブツブツ…」
気付いたら目の前で桐ヶ谷が怪訝な顔をして俺を覗き込んでいる。
はっ! いかん、いかん!!あまりの衝撃的な事実にバッドトリップしていた(ちなみにクスリもやってなきゃ酒も飲んでねぇぞ)
「大丈夫か~?」と桐ヶ谷がのんびり言って前を歩く。
俺はその華奢な後ろ姿を眺めた。