- π PI Ⅱ -【BL】
今日、桐ヶ谷に会ったらどんな顔すればいいんだろう…
とりあえず謝るか??
それが一番大事だよな。でも避けられたらどうしよ…
どよぉん、と落ち込みながら歩いていると、
「三好ー!」
後方5時の方向から敵…いやいや、好きなヤツの声が!
恐る恐る振り返り、俺は思わず後ずさりした。
桐ヶ谷が爽やか過ぎるほどの笑顔を振りまいて、手を振りながら走ってくる。
…え?ぇえ!?
びっくりしてその場で固まってしまった。
とりあえず…機嫌は悪くなさそうだ。
い、今のうちに謝ろう。さらっと言えば、大丈夫だ。こいつはあまりネチネチと根に持つタイプでもないし。
「…あ、あの桐ヶ谷っ」
「わりっ!!」
俺が謝るより早く、桐ヶ谷が両手を合わせて謝ってきた。
桐ヶ谷の態度に俺は拍子抜け。
「……へっ?」
と、間抜けに返すと、
「いや。昨日さ~三好とワインバーに飲みに行ったのは覚えてるんだけど、その後の記憶がぶっ飛んでてさ~。
今朝周から聞いて、お前に迷惑かけたみたいでさ」
え―――……覚えて…ない…?
桐ヶ谷は恥ずかしそうに笑って、茶色い紙袋を俺に手渡してきた。
「これさ、お前に迷惑掛けたお詫びのシルシ」
と言って桐ヶ谷は中身を取り出した。