- π PI Ⅱ -【BL】
それは透明のラッピング用パッケージに入った“ヒロジ”…もといヒツジ!だった。
白いフワフワの胴体に黒くて大きなおめめ。にっこり笑った口元。小さな耳も、手足の先がちょっと黒いのも…昨日見たまんま。
…どうしよう、可愛いじゃないか。
桐ヶ谷に似てるし。
「周から聞いた。お前がこれを気に入ってたって」
いや。言ってないし。でも、可愛い…
「…え?でも…これアイツのお気に入りじゃないの?貰っちゃっていいのか?」
もし桐ヶ谷が勝手に持ち出したとなると、あの刑事今度は何をしでかすか分かったもんじゃない。
何て言ったってあいつは予測不能な動きを見せるからな。
「ああ。大丈夫だ。こいつは何体もあるから。ちなみにそれはアイツの新作だ。エンジェルヒロジ」
そう何体も居るのか…ちょっと謎…。だけど言われて俺はヒツジの後ろを見た。
丸い背中に小さな白い羽が生えていて…
キュン♪可愛い。
「揃いにデビル狼も作ってたけど、あいつって謎だよな~」
桐ヶ谷は屈託なく笑う。
もう一度ヒロジを前に向けて、俺は目をまばたいた。
さっきは気付かなかったけど、一緒に固形石鹸の箱も入ってる。
「お詫びのシルシと、ちょっと早いケド、クリスマスプレゼント♪」
桐ヶ谷が爽やかに笑って、
『今日は好きな人から素敵な贈り物の予感★』
なんて占いの言葉を思い出した。