- π PI Ⅱ -【BL】
お詫びのしるし―――気、遣わなくていいのに…
ってか謝るのは俺の方で……
何だか無性に目の奥が熱くなって、俺はわざと音を立てて袋を開けた。
ガサガサと袋を開けると、ふわりと桐ヶ谷と同じ香りが香ってくる。
「この前お前洗顔何使ってるか聞いてきただろ?俺が使ってる石鹸♪」
桐ヶ谷がふわふわ笑って、
忘れようとしていた気持ちが―――俺の中で再び芽吹き、暖かい風に吹かれて、再び花を咲かせようとする。
「俺はサ、三好のこと好きだよ。あ!変な意味じゃなくてね。
友人として。すっげぇ好き」
『今日の血液型占い。第一位は昨日に続いてO型のあなた♪好きな人と距離が縮まりそう☆』
俺はまたも占いの言葉を思い出した。
嫌われたと思ってたけど―――俺、最低なことしようとしてたけど……
桐ヶ谷は忘れたって言ってたけど。
だけど、本当は全部覚えていたんじゃないか―――そのうえで、俺を許してくれたんじゃないか。
その笑顔がすべてを悟っているように見えて、
「俺……俺も好き!」
思わず大声で言うと、桐ヶ谷はびっくりしたように目を丸め、それでもまっすぐに桐ヶ谷を見つめると、桐ヶ谷は表情を緩めてふっと微笑んだ。
「知ってるって」
「いや…」
そんなあっさり言われると…
って言うかこの様子じゃ、やっぱり昨日のこと覚えてたんだろうな…
「俺の言う意味は、そーゆう意味じゃなくて…。桐ヶ谷と同じ感情じゃなくて…」
言った後になって思わず口ごもると、
「知ってるって」
と桐ヶ谷は変わらず笑顔を返してきた。