- π PI Ⅱ -【BL】
途中周がコンビニでタバコを買いたいと寄り道をした。
「お前も来いよ」なんて言われて助手席を開けられたが、俺はそれを断った。
いつもなら強引に連れて行かれるけど、周は大人しく一人でコンビニに入っていった。
周がコンビニに入るのを見届けて、俺は後部座席を振り返った。
「あのさぁ、おたく周のことが好きなんだろ?」とちょっと声を低めて問いかけると、
陣内は虚を突かれたように目を開いた。
だがすぐに口元を緩めると、
「なるほど。そっちが本性ってわけ?警視の前では可愛い子ぶってたくせに」
と腕を組んで、ふんと鼻を鳴らした。
「か、可愛い子ぶってるだぁ!?俺はあいつの前ではいつもこうだよ」
こんな俺に周は『毒舌王子』だの『凶暴ヒツジ』だの、またワケのわからんことを言うが。
まぁ陣内の本性が分かるまで大人しくしてたわけだけど、状況が変わった。
「あんただって周の前では随分態度が違うじゃん」
俺が睨みながら陣内を見ると、
陣内はまたもふんと鼻を鳴らした。
「どーして警視はこんな顔しかない頭軽そうなヤツを選んだんだか」
あ、頭軽そうだとーーー!!
「お前に言われたかねぇっつの!!!」そう怒鳴ると、陣内は皮肉そうに唇の端を歪めた。
「だって実際そうだろ?大した学歴もないし、そこそこ中堅のお堅い会社勤めの何の変哲もないサラリーマンだぜ?
ギャンブルもやらない。女もやらない。タバコも吸わないし。毎日淡々としていて何の面白みもない。
そんなんだから四年間も女に騙されて、挙句の果て裏切られて捨てられるんだよ。
それを頭軽いと言わずして何と言う?」