- π PI Ⅱ -【BL】
それでも………
周の腕の中はこいつの柑橘系の爽やかな香りに満たされて、温かいぬくもりにあふれてる。
心地よさにいつの間にか夢の中へうつらうつら…
夢と現実の間でさまよいながら
「周……好き…」
とうわごとを漏らし、ぎゅっと周を抱きしめ返すと、
「俺もだ、ヒロ♪」
突如、
ガバァっと襲い掛かってきた。
「ギャーーーー!!」
その後の俺がどーなったのかは…わざわざ言うまでもない…
――――
――
アメリカで結婚式を挙げてはや半年以上…
いい加減慣れればいいんだけど。
「いてて……」
翌朝、腰を押さえながらリビングに向かうと、周は相変わらず涼しい顔でコーヒーを飲んでいた。
出勤前の憎らしいほど爽やかに決まったスーツにワイシャツ姿だった。
「この絶倫野郎」
呻くように言って睨むと、
「ほお。最高の賛辞だと受け取っておく」とにっこり笑顔。
俺の嫌味にも全く動じない、この図太い性格どーにかしてくれよ…