- π PI Ⅱ -【BL】
そう叫んだときだった。
ガチャ
突如運転席のドアが開いた。
俺も陣内もびっくりしてそっちを見ると、
「待たせたな」と周が爽やかな笑顔を浮かべてシートに座り込んだ。
このタイミング…もしかして、今の会話聞かれてた??
ぅわ。恥ずかしい……
急に体温が上がって顔が赤くなるのを感じ、俺は思わず俯いた。
でも
周の香りが戻ってきて、俺はそれにどうしようもない安心を覚えたんだ。
「俺が居なくて寂しかったか?」なんて耳に手を寄せられて、周はやわらかく微笑んだ。
周の香りを間近で感じて、くらりと眩暈みたいなものを感じる。
慌てて頭を振ると、
「誰が!寂しくなんてねぇよ!」と強がってみた。
陣内と言い合ってたからな。退屈はしなかったぜ。
「警視!俺は寂しかったです!!」
なんて言いながら陣内は後部座席から身を乗り出している。
そんなラブラブ光線だだ漏れの陣内に、
「お前には聞いてない。て言うかお前はここで降りろ」
なんて周は冷たい。
「え~!?何でですか!」
「愛する二人に邪魔者は要らない」
ドカッ
どこをどーすればそこまで足が届くのか…運転席から器用に足を伸ばした周が陣内を押しのけ、陣内はあっけなく車外へと放り出された。