- π PI Ⅱ -【BL】
な、なんて女…
まったく気付かなかったぜ。
「周、ホントにこの人とどうゆう関係?天敵だって言ってたけど」
何て言うか…女の人は随分と親しげだ。
「天敵なんて失礼しちゃうわね」
女の人はうっすらと笑みを浮かべて、長くてスラリとした脚を組み替えた。アイボリー色のラインがきれいなスカートはスリットが深く入っていて、白い太ももがちらりと見える。
別にそれがいやらしいとは思わなかった。逆にハリウッド女優みたいに仕草が優雅で色っぽい。
「随分な言われようね。周、何年も音沙汰無しだと思ったら、いきなり結婚?妬けるわね」
そう言って彼女は一枚の紙を取り出しひらひらさせた。
その紙には、スーツ姿の俺と周二人が教会の前で映っている写真だった。
周は爽やかな笑顔を浮かべて俺の肩に手を回しているけど、俺は仏頂面でそっぽを向いている。
“結婚しました♪”なんてふざけた一文字が書かれているのを見て、俺は目を丸めた。
て言うかこのひと!違和感ないのかよ!!男同士だぜ!?
それより!
「周!あれだけ止めたのに、出したのかよ!」
そう、周はこのハガキを作って関係者に送ろうとしていたが、寸でで俺が止めたってわけ。
周は軽く両手を上げると、
「俺は出してない。お前、俺のパソコンに侵入したのか?」と女を睨んだ。
女はにっこり笑っただけだった。
し、侵入!?それってハッキングってこと―――??
「こいつはありとあらゆるコンピューターに侵入するのがオハコだ。ハッキングをして、マネーロンダリング、インサイダー取引、ウィルスを送り込んだり、情報を売ったり…その他もろもろ」
「え!それって犯罪じゃぁ!」俺がびっくりして女と周を見比べると、
「さすがにペンタゴン(アメリカの国防総省)のコンピューターに侵入したときは足がついて、以来インターポールから目を付けられて、今は指名手配犯よ♪」
ペンタゴンに侵入!?インターポール(国際警察)!?指名手配犯!!?
嘘だろーーーー!!!