- π PI Ⅱ -【BL】
なるほど…それが女郎蜘蛛の所以か。
化け物…ねぇ。
ま、女性って言うのは化粧や髪形で変わるもんだし、それはそれでありじゃねぇ?
あの人化粧とっても、整った顔立ちしていそうだし。
そう言えば女郎蜘蛛は美しい人間の女に化ける妖怪だとか…と思って、はっ!となった。
「ま、まさか、まさかの…?」だって女と言え、いっとき周と関係があった仲だぜ?
青くなって周を見上げると、
「ああ、その心配はない。刹那は戸籍上でも生物学的にも女だ。何度も言うようだが俺は男だろうと女だろうと関係ない」と手をちょっと上げた。
ほ…女かぁ。
これ以上男に好かれても困るっつうの!とりあえず刹那さんが女で良かった~
「…でも、じゃぁ何で蜘蛛なんて呼んでるんだよ」
「あいつにぴったりだろ?その名の通り、男を食いものにしてる悪女だからな」
「お前も食い物にされた口か?」
何気なく聞いたが、しんと周は口を噤んだ。
「え!?ホントに!」
「何を言う。俺自身肉食だ。食うか食われるか。あのときは必死だったぜ」
しんみりと遠い目をする周。
肉食…それは否めないな。特にベッドでのこいつときたら、小ヒツジを狙う狼そのもの。
…………
…ベッドだけじゃないな…
乳白色で分からなかったが、湯の中で周の手がそろりと近づいてきて、俺のあらぬところを探っている。
「このっ!色魔!!」
怒鳴り声が風呂場に響いて、俺は周の腹にパンチを入れた。