- π PI Ⅱ -【BL】
―――……
周は刹那さんと付き合ったのは三日だと言ったけど、あの二人の話しぶりからすると三日やそこらの親しさじゃない気がする。
互いに嫌い合ってはいそうだけど、なんて言うか喧嘩友達?みたいな…
刹那さんも口では周のこと嫌ってるみたいに言ってるけど、ホントは周に会いに来たんじゃ…
なんてさっきから暗い考えばかり浮かべてる俺。
陣内って言うライバルも現れたし、何だか大変だ。
ため息を吐いてビールの缶に口を付ける。
風呂上り…バスタオルを腰に巻いただけの格好でうろうろしてると、大抵周が目の色を変えて飛び掛ってくるが、今はあいつもドライヤーで髪を乾かしている。
どうやらその心配もないようだ。
そう思っている最中に、テーブルの上で周のケータイが震えた。
ディスプレイには“着信:陣内”と表示されていた。
ゲ
噂をすれば何とやら…だ。
ドライヤー中の周はもちろん気付いていない。この着信を無視して、挙句の果てなかったかのように削除することはできる。
でもそれって人間的にどうなの?それに男の癖にそんな意地汚いことをするのは…
いやいや相手はライバル!の陣内だぜ?
二つの考えがいったりきたり…
俺は手の中にあるケータイをじっと睨んで、数秒間悩んだあと、
結局
「周ー。電話!陣内サンから」
と声を掛けていた。