- π PI Ⅱ -【BL】
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「お疲れさま、ダーリン♪迎えにきたわよ」
なんて出入り口に刹那さんの姿を見て、俺はがくりと項垂れた。
今日も平和を望めそうにもない。
あばよ、“平和”
俺は飛び去る平和の文字に泣く泣く手を振った。
しかも何かこれ…このシチュエーション…前にもあった??
あぁ、前は周だったんだ。それが刹那さんに代わったってことだけか。
相変わらず電車でもべったりとひっついてくる刹那さん。
周りの男から羨ましいような、嫉妬のような複雑な視線で見られた。
中身がまともならいいけど、この人は変な人で、しかも指名手配犯なんです!
なんて心の中で叫ぶ。
へとへとになりながらマンションに着き、刹那さんはまた部屋に入り込むのかと思いきや、またもちょっと目を離した隙に彼女は姿を消していた。
もう、今更あの人が居なくなったからって不思議には思わない。
どうせ周も帰ってこないだろうし、今日は久々にゆっくり休める…
なんて思いながら、エレベーターを待っているとエントランスに到達したエレベーターから
―――陣内が降りてきた。
びっくりして目をみはると、陣内はちょっと勝ち誇ったように薄笑いを浮かべた。
陣内が通り過ぎる瞬間、覚えのある周の香りがふわりと香ってきて、俺は慌てて振り返った。
陣内はちょっと挑発するかのように振り返りながら、顔に薄く笑みを浮かべている。
陣内―――…なんでここに…
ちょっとの間、見えない火花を飛ばして睨みあっていたが、エレベーターが閉まる音がして俺は慌てて乗り込んだ。
何であいつがここにいるんだよ!
周―――帰ってンのか!?
疑問と、疑惑そして―――嫉妬が入り混じってドロドロと醜く歪んだ心情で、
俺は目的の階に達するまで苛々と唇を噛んだ。