- π PI Ⅱ -【BL】
勢い良くドアを開けるといきなり、
「ただいまハニ~♪」とハートを撒き散らしながら、周に抱きつかれた。
ぎゅぅと抱きしめられ、骨ばった手が俺の頭を撫でる。
びっくりして声も出せないでいたけど、周の感触と体温―――そして心地良い香りに
何故か安心した。
たった二日間離れていただけなのに、何故かすごく切なくて、嬉しくて、不覚にも泣き出しそうになってしまった。
二日間離れるなんて前だったらざらなのに、今回は特に寂しくて、苦しかった。
いつもより素直になって笑いかけると、
「…おかえ…」り、と言い終わらないうちに顎を持ち上げられて、深いキスをされる。
周の体温を唇で感じて、ドキドキと俺の心臓が波打つ。
長い口付けのあとに周は唇を離すと、俺の唇を指でそっとなぞった。
「ヒロ、水族館は悪かったな。落ち着いたら改めて計画して行こう」
周が珍しく真面目な顔で、少し切なそうに眉を寄せた。
そんな顔されると、こっちだってそれ以上言えない。
「…いや。仕事だし…」なんて俯きながら返すと、
「ハニー♪キミはなんて理解があるんだ。そして日ごとに美しくなっていくな。俺様は嬉しいぜ」
なんて台詞が返ってきて……
ドキドキ…
俺の心のテンションは上がるどころか、一気にダウン。違う意味でドキドキするわっ!!
さむっ!!
って言うか俺、自分が男だってことを一瞬忘れそうになってたよ!
「相変わらず炸裂だな」
冷めた目で見上げると、
「ふむ。その顔は俺様を誘っているのか?良かろう。今すぐ抱いてやる」
なんてその場で押し倒される。
「誘ってねぇ!ってかここ玄関!!」そう喚くと、
「気にするな。いつもと違う場所だと萌えるだろ?♪」
周は色っぽくにやり。しかも早業!もう俺、上着脱がされてるよ!!