- π PI Ⅱ -【BL】
それでも…
痛い、痛い!と訴える俺を周は笑顔でスルー。
「我慢しろ。この二日間お前に触れられなかったから俺の方が限界だ」なんて、いつもにも増してヒドイ言葉。
そんなーーー!!!
なんて喚いていると、
TRRRR…
周のケータイが鳴った。
周が動きを止めて、近くに放り出されていたケータイに手を伸ばす。
「何だよ、いいときに」なんて眉を吊り上げて怒りながら周がケータイを覗き込む。
直感―――
この電話…陣内からだ。
俺は周の首に回した腕にぎゅっと力を入れた。
「周、今だけは出ないで」
縋るように抱きしめたが、周は宥めるように俺の頭を軽く撫で上げ、
「陣内からだ。緊急かもしれん。大丈夫、すぐ終わる」なんて言って、あっさり通話ボタンを押す。
やっぱり―――陣内……
まだ繋がったままの体が、熱を持ったように熱くなったのは気持ちいいからとかじゃない。
それは急激に膨れ上がる怒りと悲しみという感情からだった。
「―――橘だ。あ?酔っ払いの喧嘩?んなもんブタ箱に突っ込んでおけ。俺の方は今突っ込み途中で忙しいんだ」
なんて言って電話を切ると、改めて俺に向き直った。
突っ込み途中……
周の顔を見て
急激に熱くなった体と心が―――恐ろしいほどのスピードで冷え切っていくのが分かった。