- π PI Ⅱ -【BL】
「偶然にしちゃ出来すぎている」
「でもそうゆうの状況証拠って言うんだろ?逮捕するにはまだ物的証拠なんて挙がってないんだろ?」
だから警察も手をこまねいている。
俺は周を睨んだ。
「変な言いがかりはよせよ!あいつは、三好はそんなヤツじゃない。犯人とは違う」
俺だってアイツがシロだって言う確たる証拠なんてないけど、三好のことは入社当時から知ってる。
アイツに出来るワルイことって言えば、せいぜい営業中に昼寝してサボる程度だ。
男に乱暴して、挙句の果て凶器で傷つけることなんてあいつにはできない。
頑なな俺に、周は大仰にため息を吐いた。
「なぁヒロ。俺はお前が心配なだけなんだ。三好がお前に迫ったら?お前は対抗できるのか?」
「見くびらないでくれよ。俺だって男だ」
そんな人をひ弱扱いするな。
そりゃ顔については女みたいって良く言われるけど、握力だったら人並みはある……筈。
周はため息を吐いて、それでも何かを決心するように目を上げた。
また…あの―――瞳の奥底で渦巻く、恐ろしいまでの光を見て、俺はごくりと息を呑んだ。
「お前は何でそんなに三好のことを庇うんだ?あいつと何かあったのか?」
「な……何もないよ…」
甘さを含んでいない、低い声―――……こうゆのをドスを利かせるっていうのかな。
はじめて周を怖いと思った。
俺は小さく答えると、足を一歩後退させた。
キスされそうになったけど―――あれはあくまでふざけてやったわけで……
実際三好とは何もなかったんだ―――