- π PI Ⅱ -【BL】
「周!やめっ…」
俺の抗議の声は広い寝室に吸い取られ、周は俺の腰を持ち上げると、足の間に入り込んできた。
ワイシャツのボタンを二つほど外されて、下着ごとズボンが下ろされる。そこでようやく周が本気なのだとわかった。
「抵抗してみろよ。こんな風に後ろから襲われたらお前だって手も足も出ないぜ?」
周が手際よく俺のワイシャツのボタンを外していき、肌を撫で上げる。
「周!やだっ!!やめろ―――!」
「叫ぶのはやめておけ。煽るだけだ。それに暴れると余計きついぞ」
愉しむように低く笑って、ワイシャツを少しずらされる。
背中に冷たい口付けをされて、ぞくりとうなじが粟立った。
「いやだっ!」顔をちょっとよじると、すかさず周の手が俺の頭を押さえる。
いつも優しい温もりに溢れていて、愛情を感じれるのに―――今は力強い―――乱暴な手付きに、恐怖を感じた。
「ヒロ。俺にだって汚い願望と欲求はある。ただ抑えていただけだ。
できればお前を壊れるぐらいに犯して、お前を一生この部屋に閉じ込めて、誰にも見せない、誰にも触れさせない。
俺だけのものにしたいという歪んだ欲望はある」
―――周………
「ヒロ、俺を軽蔑するか?」
はじめて……はじめて周の悲しそうな声を聞いた。
俺は何て答えればいいのか分からなかった。
眉を寄せてちょっとだけ顔を周に向けると、周は俺の腰を持ち上げ後ろから予告もなしに俺の内部に入ってきた。
「――――!!!」
体を引き裂かれる様な激痛に俺は叫び声を上げた。
今までの非にならないぐらいだ。
目を開いて酸素を求めるように口を開く。後ろで拘束された手を目一杯広げたが、ネクタイは緩まることはない。
「痛っ!!周……無理だ…やめてくれ!」懇願するように声を搾り出すと、
「止められない」
と冷淡な声が背中に振ってきた。