- π PI Ⅱ -【BL】
「ところで刹那さん。ここ寝室ですよ?バリアが張ってあってあなたは入れないはずじゃ」
「ああ、これのこと?」と言って刹那さんは紙切れをどこからか取り出す。
その紙はびりびりに引き裂かれていた。
「傷心のヒロにつけ入る隙ができたと思って破っちゃったわ♪」なんてにこにこ。
そしてちらりと流し目で俺を見ると、
「せっかくだから、ここで既成事実でも作っておきましょうか♪」なんて言い出して、がばぁと覆いかぶさってきた。
「ギャーーーー!!」
勘弁してください!俺今度こそ死ぬ!!
――――
――
刹那さんの攻撃を何とかかわしながらも起き上がると、まだあちこちが痛かった。
それでもそんな体にムチ打つようにベッドから這い出ると、ローブを羽織り考えを切り替えた。
「三好は犯人じゃない。俺があいつの無実を証明してみせる」
「あらぁ。でも状況証拠が揃ってるじゃない。木曜日の夜の犯行があった次の日、彼は違う方向から出勤したわ。あなたは電車の中で鉢合わせるはずよ?」
と刹那さんは楽しそうに、にこにこ。
「…そー言えば…実家に行ってたとか…って!あんたが何故それを知ってる!」
「そりゃヒロのことは何でも知ってるわよ♪好きな人のことをじっと見つめるのがあたしの趣味なの♪」なんて刹那さんはくねくねして俺に寄りかかってくる。
じっと見つめる…ってそれストーカーじゃないですかねっ!?
「それに残念なことに、どの犯行時刻にも彼のアリバイがないわ」
アリバイ―――かぁ……