- π PI Ⅱ -【BL】
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次の日、会社に向かってすぐに俺は三好を探した。
三好は忙しそうにしていたが、俺と目が合うと露骨に視線を逸らした。
話しかけようとすると、三好は俺を避ける様に他の人に喋りかけたり、電話をしたりする。
避けられてる―――……?
無理もないかぁ…
昨日、あんな現場を見られたら、誰だって気色悪いと思うに決まってる。
周は―――三好が俺を好きだと断言したが、この態度を見てる限りそれはないだろう。
あいつは野生並みに勘が鋭いけど、今回ばかりはハズレのようだ。
結局三好とは一言も会話を交わすことなく、一日が終わってしまった。
―――…「三好の無実を証明してみせるなんて言ったけど、どうすればいいのか…」
ため息を吐いて俺は例の喫茶店までとぼとぼと向かった。
今日も刹那さんがここまで迎えにくる。
周に頼まれたらしく、刹那さんはそれを律儀に守っている。
刹那さんはオープンテラスの決まった場所で電話をしながら、ノートパソコンを開いていた。
俺が近づいていっても刹那さんは俺に気付かず電話を続けていた。
「―――ありがと。手間を掛けたわね。―――ええ、もちろんよ。これはあたしたちだけの秘密♪」
誰と話してんだよ…?意味深だな。
って、この人に一々突っ込みを入れてはいけない。
この人は周以上に謎な人だから。
「―――あらっ♪ヒロが来たわ。それじゃね」
刹那さんは俺に気付くと、ケータイを切り、ノートパソコンも閉じた。