- π PI Ⅱ -【BL】
「ヒロ♪早かったのね」
刹那さんは変わらずにこにこ。
「三好 達矢とはお話できた?」
その言葉に俺は首を振りながら腰を降ろした。
「俺、探偵には向いてないのかも。どう動けばいいのかさっぱりだ」
「素人には限界があるわよ」と刹那さんは慰めるように笑う。
ため息を吐いて、コーヒーを注文するとウェイトレスが去っていくとき
「今何時?」と刹那さんが優雅に紅茶を飲みながら突然聞いてきた。やけに大きな声だった。
「今―――?えっと18時15分…」
と言い終わると同時に、刹那さんは紅茶のカップを手から離した。
―――ガシャンっ!
バシャッ
派手な音がして、カップが割れ、中の紅茶が俺の膝に掛かる。
「ぅわ!」
「キャっ。ごめんなさい!」
刹那さんが慌てて立ち上がり、ウェイトレスもびっくりしたように振り向く。
「お客様、お怪我はございませんか!」
「ごめんなさい、ヒロ。火傷してない?」
「え…いえ…ケガもしてないし、火傷も大丈夫…」
「少々お待ちくださいませ!」
ウェイトレスは慌てて奥に引っ込んで行き、次にはもう一人をひきつれて布巾を手に慌てて戻ってきた。
とんだ災難だ―――…(泣)