- π PI Ⅱ -【BL】
次の日の新聞にも、また例の強盗事件が報道されていた。
現場はまたもこの近く。
今日は何が何でも三好と話さなきゃ!
会社に駆け込んで、三好を捕まえると俺は人けのないロビーまで三好を引っ張って行った。
「何だよ…桐ヶ谷…」
不審そうにする三好に俺は向き直った。
ぎくりとして三好が視線を逸らす。
「……俺、誰にも言うつもりはないから安心しろよ。お前の恋人が男だってこと…」
俺は目を開いた。
「そんなことを言いにきたんじゃない。お前…」
「知らなかったよ。お前がゲイだったなんて。でも何で教えてくれなかった。言ってくれれば良かったじゃないか。俺は偏見なんて持ってないし、軽蔑なんてしない」
三好が苛々と早口で言った。
「…ちが…」
「何が違うって言うんだよ」
「…俺はあいつに会うまで女が好きだった。今だって男が好きとかそうゆうのじゃない」
俺の言葉に三好が目を開いて顔を戻す。
俺は三好の両肩を掴んで前を向かせると、真正面から三好の目をまっすぐに見つめて答えた。
「俺はあいつが女だったとしても好きになってた。あいつが男だろうが、女だろうが俺にとっては関係ないことだ。
俺はあいつが―――…
橘 周って言う人間を好きになったんだ」