- π PI Ⅱ -【BL】
「他に言う事?」
「だぁかぁら!俺がやったのかって、お前は疑わないのかよっ!」
苛々と俺は周を睨みあげた。
「お前が?いや、それだけはないだろう」周は形の良い顎に手を掛けると、さらりと言ってのけた。
「何でそう言いきれるんだよ。俺のこと……信じてるから…?」探るように目を上げると、
「それは大前提だが、お前にあんな犯罪が犯せるわけがない。お前が出来るワルいことって言ったらせいぜい……」
言いかけて周は頭を捻った。
「うーん…思いつかん」
相変わらずだな…
「お前は“くそ”が着くほど真面目だからな。まぁそこが好きなんだが…。
それ以前に!お前には誰かを襲う程の性欲がない!」
ビシッと指を指されて、
「人を不能みたいな言い方すんじゃねぇ!」俺は思わず喚いた。
「ヒロは不能じゃないぞ。ちゃんと反応…」
「わ゛ーーー!!こんなところで言うな!!」
もうやだ……俺、結婚する相手間違えたんじゃないか…?
「せっかく感動の再会シーンだってのに…」がくりと肩を項垂れて俺は思わず呟いた。
「俺だって感動しすぎて、今すぐお前に突っ込みたい衝動を堪えている」
しれっと言う周に、
「死ね」
俺は冷たく言ってやった。
周はやっぱり変で―――だけど普段通りの変態周で……
次会ったらどんな顔すればいいんだろう…とちょっと考えていた俺は、正直拍子抜けした。
でも―――
こんな変態で意味不明野郎を好きになったのは俺で、
相変わらずの変態っぷりに、俺は思わず笑ってしまった。