LOVEsoHIGH
「私、自分から名前を教えたりしませんよ? もし本当に分からなかったら、この店には行きません。そういうお約束でよろしいですか?」
彼の顔をもう一度確認してみる。
昔の知り合い、同級生、近所のお兄ちゃん。
ありとあらゆるパターンを想定してみたけど、彼と私の接点はない。
やっぱりナンパ師だ。
「俺はナンパしてるわけじゃない。真面目な公務員だし、モテるし、女に不自由しているわけじゃない
お前、俺が何でこんな事言ってるか意味わかってないだろ?」
「わかってないです」
最低……自分で自分がモテるって言ってるし
「普段は絶対こんな事しないからな」
彼は、またムッと不機嫌な顔をする。
「仕事中だろ、大丈夫なのか?」
ああっ!
そうだ、仕事中だった。
「失礼します」
渡された地図をどうしようかと、一瞬迷ったけど
クシャと丸めて制服のポケットにしまった。