LOVEsoHIGH
*アウトエリア*
ドリンクサービスを終えて、ギャレーに引き返しカートを片付けて機材に固定する。
よし、次はディナーの準備だ。
先輩たちに続いて、ディナーの準備を手伝う。
ギャレーの中では、CAたちも和気あいあいと話をしていた。
「見てたわよ~座席番号30のA
何話してたの?」
背後から忍び寄り、こっそり耳打ちをする先輩。
お局様っていうのかもしれないけど、この機体のCAの中では一番偉い人だ。
近々訓練学校の教官になるって噂されていて普段はファーストやビジネスクラスにいるんだけど、今日は私のお目付け役なんだろう。
先輩がいう30のAとは、彼が座っているビジネスシートの座席番号だ。
私たちは、お客様を失礼ながらも座席番号をコードネームのように呼ぶ時もある。
「いえ、飲み物の種類を聞かれて……悩んでいたみたいですが、何も頼まれませんでした」
私は、嘘をついた。
だって、まさかでも離陸直後に名前を訊かれて「デート」に誘われたなんて言ったら何を言われるかわかったものじゃない。
まだデートするって決まったわけじゃないけど……