【完】想うのはこれから先も君ひとり
「でも、あたしのお父さんって亡くなったんじゃ…?」


「杏莉が生まれて間もない時に両親が離婚して、母親の方に引き取られたらしいんだ。」


早口にならないようにゆっくり話していく


「その後、母親はすぐに再婚した。それが亡くなった人さ。」


「じゃあ、生みの親である人が居るってこと?」


俺は小さく頷いた


「その生みの親である人が杏莉に会いたがっているんだよ」


「そんなの…急に言われても頭の整理が出来ないよ!!」


杏莉は必死にもがいてベッドから出て逃げようとする


そんな、杏莉を追い掛けて引き止めた


「逃げるな!!」


俺の怒鳴り声に“ピクッ”とした杏莉


逃げないように強く腕を掴む


「いや!!離して!!信じたくないの。」


俺は震えていた杏莉を後ろから優しく抱きしめた
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