【完】想うのはこれから先も君ひとり
「優斗君も分かるんだ。1人の寂しさ…」


ボソッと呟いた杏莉


「俺、優雅や愛花に出会うまでほとんど1人だったから」


「あたしと一緒だ。あたしも瑠夏さんに出会うまで1人だった」


無理してでも起き上がろうとする杏莉


俺はそれを止めた


「熱あるんだから横になってろ」


「でも、迷惑掛けちゃうよ」


「心配すんなって。無理に動いたら悪化するぞ」


何かを言いたそうだけど杏莉は渋々と寝転がる


「変に強がってないでたまには弱音吐けば?溜め込んでると自分が辛いだけじゃん?」


「だって、弱音…吐いても…信じて…くれない」


聞こえるか聞こえないか分からないくらいの小さな声で呟いた杏莉には元気がなかった


俺はそんな杏莉を眺めることしか出来なかったんだ
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