マタアシタ、


この頃私はマキちゃんのことを素直に好きと認めることができず、『好きじゃない好きじゃない』と言い聞かせてばかりいた。

ただ単に、マキちゃんを好きになることで、今までの友情が壊れてしまいそうで怖かったから。

マキちゃんとは中学校からの仲で、私が悩んでるときは話を聞いてくれて、マキちゃんが悩めば私が聞いて、お互いに困ったときは助け合っていたし、お互いに男と女として意識することはなかったと思う。


そんなマキちゃんを私が“男”として意識するようになったのは、入学祝いと言うことで、同じ中学の同級生達とマキちゃんの家で打ち上げをした時にだった。
みんなこの日はお酒を飲んでいて私はあんまり飲まなかったけど、周りはべろんべろんでまともではなかった。

「梨乃〜♪」

急に普段こんな甘い声を出さないマキちゃんが私を押し倒した。

「ちょっと?!マキちゃん?」

なにも言わずに顔が近づいてきて、私達はキスをした。

初めてのキスはこんなものか…という思いと、マキちゃんの顔がいつもより男らしく見えて今まで感じたことのないドキドキと、この日を境に私はマキちゃんを男として意識するようになっていた。
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