マタアシタ、


***


いつの間にか教室には、クラスメイトがほとんど来ていた。


「梨乃おはよう」

頭をボカっと叩かれた。

後ろを見るとマキちゃんだった。

「おはよう。今日は早いじゃん」

「当たり前だろ〜。今日卒業式だし」

いつもは5分前かホームルームが始まってから来る遅刻常習犯だった。

なにかいつもと雰囲気が違っていた。

「あれ?真木、ネクタイは?」

「あー。もうあげる奴決まってんからさ取った」

「だれだれ?」

「教えるわけねーから、ばーか」

と言って、男子の集団の中へと入って行った。


「だれだろうね…」

美香が私の耳元でささやいた。

「梨乃かもよ…」

「ないない!」

あまりの声の大きさに周りの視線が私に集中した。


「梨乃声でかーい(笑)」

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