さあ、俺と秘密をはじめよう



「ちなみに陽君たちのもありますよー」


ほらといった風に黒崎君たちの名字が彫られた判子をどこからか取り出して見せる。


「「「「なんでお前(知砂:あんた)が持ってる(のよ)んだよ!!」」」」

息を揃えて黒崎君たちは総出で突っ込む。



どこからそんなものを持ってくるのかしら?と聞きたいところだけどやめておこう。

たぶん、この人に聞くだけ無駄だと思う。


そして黒崎君たちは自分たちのハンコを取り返そうと水野君に詰め寄る。

「俺のハンコ返せよ」

「えー」

「えーじゃねーよ。俺のハンコだろ!」

「嫌ですよ」

「殴られたいか?」

黒いオーラを身にまとい笑顔でポキポキと指を鳴らす田倉君は今すぐ返さないと殴るという無言の言葉をバックにする。


「い、いや…それはちょっと…殴られるのは勘弁ですしー」

苦笑いで額に汗を浮かべる水野君は後ろに一歩下がった。


「じゃあ、判子返せ」

「それもちょっと…」

田倉君は真郷君に視線で合図を送り、それに答えたかのように真郷君は頷いた。

「尚弥」

「あいよ」


真郷君は水野君の両肩をガシっと抑え込んでいつでもどうぞという風にスタンバイする。

「っちょ」

「了、わりーな。俺は今だけ!昌太の味方なんだ」


止めなくていいのかと思ったけど私もハンコは返してほしい。

そもそもどうやって、そのハンコを作ったのかそこから疑問に思うわけだけど、

それをあえて聞かないことにする。


目線を黒崎君に向けたら、黒崎君は気づいて苦笑する。

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