さあ、俺と秘密をはじめよう
「たーつーき」
と呼んで抱きかかえるイタク。
「この子大人しいな」
「だねー」
可愛いと言いながら抱きしめるイタクは本当に子供好きであった。
「それにしても…リビング広いねー」
「ですねー」
この部屋でもかなり広い。
一体どんだけのお坊ちゃんなんだ?
ここのマンション、しかも最上階を借りるくらいだ、相当なお金持ちだろう。
親は一体何の仕事をしているのだろうか。
気になる文東たちであった。
そして…この部屋に欠陥的なことがあった。
「物がないねー」
「ないですねー」
物がなさすぎる。
リビングにあるものと言えばTVとソファー…そしてダイニングデーブルと
一際そこだけぽつんと目立つかのように置いてあったグランドピアノだけであった。
「ゲームとかないのか?」
「探してみようぜ?つーか、樹希に聞いてみるか?」
バカなことを言い出すイタク。
「樹希、ここにゲームとか面白いものねーのか?」
マジで聞きやがったと思ったタイチ。
その質問に答えるかのように樹希は首を横に振るう。
「そっか…」
残念そうにがっかりするイタクたち。
「まぁ、仕方がないよねー」
(文東たち三人:こんなに物がなさすぎるわけだし…)
「お待たせいたしましたー」
と陽の声が後ろから聞こえてきた。
やっと来たかと言った風にぱあと明るい表情を見せる三人であった。