さあ、俺と秘密をはじめよう
「すみません。遠慮しておきます」
私は苦笑いしながらも即答した。
「即答か。声優業や歌はやっても顔出すことはしないかー」
「はい。本命は歌手ですから」
周りは納得してない様子だ。
でも、これだけは絶対譲れない。
「じゃー、男か女かだけでも教えて?」
男性スタッフが尋ねる。
「さあ、どっちでしょうね。秘密です」
私は人差し指を口元に当て微笑した。
周りはほんのり頬を赤く染め
「ずるいなぁ」
これ以上は聞いてこなくなった。
何故か、大抵はこれで性別は誤魔化せるのだ。
「星、お疲れ様」
「お疲れ様です」
「今日も良かったわよ。はい、水」
私はマネージャーの竹内さんからありがとう、と水を受け取った。