さあ、俺と秘密をはじめよう
「今日はこれで終わりですよね?」
「ええ、今日はね。明日は17時からMGBスタジオでレコーディングがあるから」
「はい。それまでにいつも通り来ればいいんですね」
「そうよ、遅刻は厳禁よ」
「はい」
私は車の中で明日の打ち合わせとスケジュール帳を見ながら確認した。
「疲れた?」
竹内さんは車を運転しながら、後ろを向いた。
(前を見て!前を!運転に集中してください)
と言いたかったけど、ぐっと心に押し込めた。
「少しだけ」
「そう。でも、まだまだこれからよ。あなたはどんどんこれから伸びるし、売れるわ。これくらいでへこたれちゃダメよ」
「はい…」
私は窓の外を眺めながら少し声のトーンを落として返事をした。
車が走ってるせいか、景色が変わりつつある。
まあーそりゃそうか。