さあ、俺と秘密をはじめよう
変わり映えのしない、景色。
空はいつだって青く、
澄んでいる。
(鳥になりたいな…)
車の窓から外を眺めたわいもないことを思う。
この景色と同じように私も変わってない。
変わりたいのに変われない―――そんな葛藤が脳内に巡る。
変わってない…ううん、昔よりは変わったはずだ。
こうして、歌を歌ってるんだから。
歌を歌えてるはずなのに…
どうして、こんなにも虚しいの?
こんなことをグルグルと頭の中を巡らせているうちに
「着いたわよ」
と竹内さんに言われ、私はあわてて車から降りた。
「あ、ありがとうございます」
「明日も頑張るのよ」
「はい…。さようなら」
私は手を軽く振りながら、発進する車を見送った。