さあ、俺と秘密をはじめよう
彼女はみるみるのうちに顔を青くしていった。
俺はとうしたのだろうかと慌てた。
「ごめんなさい。中々思いだせなくて…」
と彼女は頭を下げた。
(へ?)
たぶんこの時の俺は間の抜けた顔をしていただろう。
「いやいや、俺もあんたが今朝の子だって確信がなかったし」
お互い様だ。
それにそんなことどうだっていいって気がした。
今こうして会えたんだから。
だが、彼女は気が済まないような顔をしている。
「…友達の顔を忘れるなんて私最低だよ…」
「気にすんなって」
俺がそういっても彼女は首を横に振り、
「そんなわけにはいかないよ!私の気がすまないの!」
彼女は意外にも頑固で強情だ。
俺の手をとってぎゅっと彼女は握って俺を見上げる。
「何かお詫びをさせて!」
「え?」
「そうじゃなきゃとてもじゃないけどあなたに悪いもの」
眉を下げしゅんとする彼女がうさぎぽくって可愛かった。
そうは言ってもお詫びって何を頼めばいいのか俺には思いつかなかった。