さあ、俺と秘密をはじめよう
悩んだ末に思いつたのがこれだった。
「名まえ教えて?」
「え?」
「まだ、名まえ聞いてなかったから。俺、1-Cの黒崎 陽」
「私は星名 爽歌…1-D」
ホシナ サヤカ…ほしな さやか、か。
(どう漢字書くんだろう?)
「漢字はどうかくの?俺は黒の崎に黒崎で太陽の陽って書いて陽」
「珍しいね」
「よく言われる」
初めてあった奴はみんな、俺のことを【ヨウ】と言ってしまう。
後から知ると普通読めるかーって文句を言われる。
文句を言われても困るんだがな。つけたのは親だから。文句があるなら親に言ってくれ。
もっとも、もう両親には文句どころか相談の一つさえも言えない。
小学校の頃はそれで【ヨウ】ってあだ名が定着した。だけど、中学ではそう呼ぶ人もいなくなって、今は普通に陽って呼ばれてる。
「私は星の名前と書いて星名に爽やかな歌と書いて爽歌。全然爽やかって感じじゃなくてごめんなさい」
「あはは」
そんなことないとは思うと言いたかったが何故か少しためらってしまった。
「それよりも黒崎君、お詫びは何すれば?」
「え?」
「えって、お詫びは何をすればいいの?まさかとは思うけどさっきのがお詫びでいいっていうんじゃないよね?」
「そうだけど?」
「そんなのお詫びにならないよ!!」
どうやら彼女は満足してなかったみたいだ。
んー、ほかにこれと言って思いつかなかったし、正直俺としては名前が分かっただけで十分とお詫びになった気がする。
でも、彼女にとってそれはお詫びに入ったうちではなかったのだろう。