さあ、俺と秘密をはじめよう


「【星】は性別が不明なんだろ?」

「うん」

「声とかで一発で分かるんじゃ?それにそんなに髪が長いと…余計に――」

「それね、私ボイスチェンジできるから」

「ボイスチェンジ?」

「えっと、つまり、両声って言ったら分かるかな?」

「なんとなく」

「男バージョンと女バージョンの両方の声を使い分ける事が出来るの」


星名って本当にすごいって思った。


「それはすごいなー」

「それほどでもないよ。髪は纏め上げてショートのかつらをかぶってる」


夏とか暑苦しそうだ。


「夏とか暑いけどね」と付け足したように言う星名。


星名は色々と大変そうでだけどそれを決して弱音なんか吐かずに頑張っているのだと思う。

気丈に見えて、本当は脆くて儚げなんだ、と。

だけどそれは決して見せないんだろうなと俺には分かった。


自分に奢ることなく鼻にもかけず、いつも努力してるんだと思う…きっとそれが本当の星名。


だけど、それは時にかなり寂しく孤独なんだと俺は知っている。

(たぶんだけど、星名は今まで誰にもこのことを相談できず1人で頑張ってきたんだろうな)


星名…これからは俺がいるんだ。お前は1人じゃない。

かつて、俺が陟さんに言われた言葉のように俺は星名に告げる。


「星名…お前は1人じゃないよ。俺がいるからさ」


(せめて、いつでも君が泣ける場所を作ってあげたい。君の居場所を―――)








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