さあ、俺と秘密をはじめよう
「星名…お前は1人じゃないよ。俺がいるからさ」
真剣な瞳でまっすぐに私を見つる。
なんで彼はこんなにも純粋で率直に言うのだろうか。
それに彼は私に同情とかそういうことを一切微塵にも感じていない。
そう私は感じた。
だからこそ、私はこの言葉を素直に受け入れることができた。
同情なんていらない。ほしくもない。ただ私がほしいのはありのままの言葉がほしかった。
上辺っつらでただ言葉をならべただけの偽りの言葉なんかじゃない。ただありのままで純真な――――そう、この人みたいに・・・。
「ありがと・・・」
私は下を俯いて小さくつぶやいた。
それを彼は聞き取ったのか優しく微笑んだ。
この瞬間、私の鼓動は高鳴り、胸が熱くなって締め付けられた。
私の顔は今きっと紅くなっているだろう。
どうしてそうなったのか、訳もわからずに―――。
(あれ?何なんだろう・・・これ。病気・・・?)
しばらく沈黙が続いた。
その沈黙は決して軽いものではなかったが重たいものでもなかった。ちょうどよい程度だ。
嫌ではなかった。むしろ心地よいとさえ感じた。
互いの呼吸の音。
春風の音。もうすぐ夏がやってくるにおいに、風にゆられてなびいている私の長い黒髪。
そして、今は授業中でグランドから生徒たちの声が聞こえる。
時が止まってしまえばいいのにとさえ思うほどに・・・。