さあ、俺と秘密をはじめよう
俺の大ファン【星】が星名だったことは驚いたけど、それを知った上で本当のファンになりたかった。
星名が【星】であろうとなかろうと味方でいたいと思った。
それはこれからも変わらない。
「星名の歌声が聞きたい…」
(あ…)
しまったと思った瞬間時すでに遅し。
心の声が漏れてた。
「え?」
「あ…いや、え、えっと…これは…その違うんだ!」
「……」
じーっときょとんとした顔で俺を見つめる。
「違わないんだけど!心の声があーーー」
挙動不審になっている俺はきっと変人だと思われているに違いない。
だけど、彼女はそんなことを微塵にも感じず、笑っていた。
「ふふ、つまり黒崎君はつい心の声を口に出して言っちゃったってわけだね。それで気付いた時には時すでに遅しってわけだ」
思考を完全に読み切った星名さんすごいです!
エスパーかと思うがそれは単に俺が単純なわけだ。
「そう、その通り」
「それで黒崎君は違うって言ってたけど本当のところ、私の歌声聴きたいの?」
「聴きたい!…です」
即答する。
完全に主導権が持っていかれた気がすのは気のせいか。それとも元から主導権なんて存在していたのかどうかさえ怪しいところだ。
「いいよ。黒崎君ならいいよ」
「本当か!?」
「うん。だって、今更隠してもしかたがないし、それに黒崎君誰にもこのこと言うつもりないでしょ?」
当たり前だ。
というか、他人の秘密を話すほど俺は最低な人間でもない。