さあ、俺と秘密をはじめよう


深呼吸し、星名は口をひらく――。

「―――♪過去に とらわれていた

ぬぐいきれない 悲しみを かかえてー

I say 心にもない

But I cannot deceive it anymore 

解き放ち 手を伸ばした

My past 戻らない

離してしまった your hand


避けて通れない道は いつのまにかこうだった

そして ひとりぼっちで 泣いていた



届かない言葉を 並べるだけで

分かってるのに 意味のないことを

それでもいい so I give it to you My new worlds・・・♪」




その歌は俺の胸に鳴り響いていた。

脳に衝撃を受けたみたいに・・・星名の周りは輝いていて、誰もが魅了させられるくらい妖艶でとても綺麗でその雰囲気にのみこまれそうだった。

ここが屋上だってことも忘れてたくらい星名の歌に聴き惚れていた。


(歌っている星名は別人に見える・・・すげー。声色もまったくの別人でさっきとはまるっきり違う)


歌い終わった彼女は元に戻ったように可愛らしい雰囲気を持っていた。

本当に別人だと思うくらいすごかった。さすがプロだ。


「どうだったかな?」

星名ははにかんで俺の所に寄ってきた。


「言葉が出ないほどにすごかった!」

「本当!?」

「うん。ほんと」

「良かったー。新曲だったから上手く歌えるかどうか不安だったの」

「え?さっき歌った曲が?」

「うん。来週あたりくらいだと思うけど、ラジオで歌うよ」

「マジで!?」

「うん」

「俺絶対ラジオ聴くよ!」

「あはは。ありがとう」


(やべー。星名のことなのに俺まで嬉しくなってきた)

今からでもワクワクしてきた。





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