ゆびきり
魚と鳥
『大きくなったらお魚さんになるの』
『じゃあ僕は鳥だね』


退屈な授業中、私はそんな夢を見た。
酷く危なっかしい、何だか情けない約束の夢だった。


「……ありえないや」


私は誰にも聞こえないくらいの小さな声で呟いた。

彼は今も飛んでいるのだろうか。

例えば鳥のように。
大きくて無限な空を。

感傷的にそんな事を思ったけれど、私はすぐにそれを止めた。つまらなかった。


私は泳いでいない。
私は泳ぐ事を止めた魚のように、ただ溺れていた。
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